リクルート系雑誌の記事に感銘を受け、美容室オーナーにはがきを送付。驚いたことに、はがきを読んだ美容室オーナー自ら、当時の尾池代表の自宅へ訪問!美容師になることを両親に反対されていたにもかかわらず、自宅訪問ですっかり両親も安心しきって晴れて美容師の道へ。寮生活がはじまる、下積み時代を経てようやくスタイリストに昇進。その頃スキルアップと自己への挑戦をかけて、ロンドンのヴィダルサスーンアカデミーに行くと決心。貯金と英語の勉強に勤しみ5年後、単身渡英。当時日本では認知度の低かったカラーアナリストを知る。パリを経て帰国後、新店舗立ち上げなどに携わり多くのことを学び、15年勤務したサロンを円満退職。2002年に「hair SPUR」(ヘアー シュプール)をオープン。すてきなスタッフとゲストに恵まれていることに感謝しつつ、日々のサロンワークを楽しんでいるオーナー兼スタイリスト。
両親には、男の美容師なんて・・・言われて反対されていたんですよ。でも、美容師になる夢をあきらめずにいました。ある日、リクルート雑誌である美容室オーナーのコラムを読んで、そのコラムの美容室オーナーに惹かれてしまったんです。そして、ハガキを送ったんです。すると数日後、いつもどおり学校から帰ってくると、コラムのオーナーが自宅にいて、親と話をしているんですよ!「うちの子を宜しくお願いします。」なんて話しちゃっている。もう、びっくりしましたね。
ヘアーのハーバード的存在、ヴィダルサスーンアカデミーで修業をされたそうですが、大変ハードだと聞きます。なぜ、ヴィダルサスーンへ行こうと思ったのですか?
新しい知識をつけるのが面白くてしょうがなかったんです。それに、同年代の子がどんどん辞めていく中、とにかく負けたくなかったのがありました。一旗あげたい・・・と強く考えていました。20才の時、どうせ行くなら本場のヴィダルサスーンに行くんだと決心し、計画的に貯金をし、英語の勉強に励みました。
勤め先の研修制度の一環ではなく、あくまでもオーナー自信決意したわけですね。
はい、ロンドンへは単身で行ったんです。航空券やホテル、手配のために現地に電話するなど、全て自分で準備をしました。必要なお金を貯めるのと、英語の勉強に5年くらいかけました。好きな英語使う仕事につきたいと思っていたのもあってまったく苦じゃなかったですね。あとは、どれだけ自分ができるか試してみたいというのがいちばんありました。
実際のところ、通訳を通しての授業より、直接授業も聞けて自由に質問をする事ができたので吸収が違いました。卒業後、サロンワークを経験し、パリでも勉強したのですが、英語を勉強していったのは本当に大きかったですね。
帰国してからも勉強会や講習会に、いろいろと自己投資もたくさんしましたね。自己投資した分、自分の身にとなり、糧となり結果的にゲストの要望に答えられるし、がんばった分そのまま自分に返ってきますから、まったく苦ではなかったです。当然、労働ですから体力的に楽なわけはありませんが、精神的に満足できたのでやってこられたのだと思います。
目の前の仕事をただの労働だと思ってはいけない、サラリーマン美容師にはなっちゃいけない。働き続けることで、経済的満足しますが、いつしか精神とのバランスが崩れ、必ず体を壊してしまう時がきてしまう。考え方ひとつなんですよね、労働だと思ってやるより、ひとつひとつの事を、どうしたらゲストが喜んでくれるか考えて、取り組んだ結果「ありがとう」と言ってくれる。ゲストがくれた言葉を謙虚に受け止めて感謝をすること・・・シンプルだけどゲストの言葉、笑顔が一番の原動力になりますね。
発展途上国の子供たちは、パンと牛乳で癒されますが、アメリカや日本のような先進国は、それだけでは癒されません。思いやる心や優しさが必要になってくる、リラックスしたり、悩みをとったり気分転換ができる、そして、ゲストにとって元気で幸せになってもらえるような……、そんな、美容室にしていきたいですね。
仕事が忙しく、寝不足と疲れが原因で、急性心筋梗塞にかかってしまい、1ヶ月間入院したことがあるんですが、その時、健康であることがどれだけ大事か、身にしみてわかったんです。入院している間、2週間ぶりに婦長さんにシャンプーをしてもらった時、僕が美容師だと知っているものだから、「素人でごめんなさいね」と言いながらもシャンプーをしてもらいました。おせじにも上手とは言えなかったのですが、そんな事よりも婦長さんの手からやさしさ、いたわりが頭皮を通じて伝わって、心のこもったシャンプーに感動したんです。ものすごく気持ちが良かった!感謝の気持ちいっぱいになり、僕も施術の上手い下手は、美容師であればこだわるのは当たり前ですが、それ以上に心のこもったサービス、ゲストに心から喜んでもらえるサロンを作っていきたいと思いましたね。「シャンプーは、心を洗い、カットは、悩みをなくし、パーマは、気持ちを軽やかにして、カラーは、人生を明るくすること」いつも心に…美容師は本当に人を幸せにできる仕事です。
カラーアナリストを導入しているそうですが、具体的にサロンワークの中でどのように役立てているのでしょうか。
好きな色と似合う色は違います。人によって肌、目、髪の色、顔の形、目の形、骨格が違うように、それぞれ似合うデザインがあり、色も人によって似合う色があります。同じ色でも、季節やライティングによって違って見え、色のイメージが変わるように、まわりの環境によっても異なります。そして、流行の色も毎年違います。ゲストに似合う色、元気になれる色、大人っぽく見える色、トータル的にアドバイスできるのがカラーアナリストの役割です。ゲストの気分や、イメージ、似合う色を知ることで、何色を着たらどのように見られる、見られたいというのがわかるようになるんです。シュプールでは、30分程度の時間で診断し、診断結果のカラーチップの提供をしています。実際に、診断されたゲストからは、主に洋服など何色を買うか迷わなくなった、オシャレになった、凄く役に立つって評判がいいんですよ。スタイルエイチさんは、絶対サマースプリングですよ。
え!?そうですか?大体見てわかるものなんですか?
だいたいわかりますよ、ただ、細かいことは診断しないとわかりませんけどね。自分に似合う色のタイプを知っていると、楽ですよ。ぜひとも一度診断してみてください、絶対役にたちますから。
今年は何色が流行りなんですか?
2007年は、ブルーです。ファッションは一年を通じてインディゴブルーです。風水でもラッキーカラーがありますよね。ちなみに、色彩協会の方で10年先まで流行色が決められていて、色も需要と供給になっているんですよ。デザイナーさんがブルーを基準にしてデザインを決め、パリコレなどのファッションショーで発表するんです。よって、色がわかると流行もわかるんです。
流行そのものはファッション雑誌、メディアが取り上げて一般の人たちが知る頃にはもう遅いんですよね。間違っちゃいけないのは、流行は知っておかなくてはいけないけれど、決して流されちゃいけないということ。サロンワークは、オートマチックではなくオートクチュールであり、そして、オーダーメイドであり、その人ありき。パーソナルな部分を引き出すことができる、色彩学は、美容師にとっては必要不可欠ですね。
経営者とスタイリストとして2つの顔をお持ちですが、スタッフとの関係作りに苦労されていると思われます。一番言い聞かせていることは何ですか?
ゲストにとって100%じゃいけない、120%満足させることで良い意味で期待を裏切らないとまたゲストは来てくれないと思うんです。その為には、スタッフが常に輝いていないとできないとできないんですよね。母親のように話を聞き、忙しいときにはねぎらいの言葉をかけるなど、母親的経営が大切で、みんなで喜び、考え、価値観、情報を共有すること。また、今やっていることについて、価値観の基準値を考えること、損か得なのか、正しいことなのか正しくないのか、そしていちばんは、美しいか美しくないかですね。ある程度の権限を与え判断させ、行動してもらえる様にしています。 そして、スタッフを受け入れる、受け入れないではなく、何でも受け止めないといけない。いつでも器は大きくありたいものです、そうしないとスタッフが心から行動ができないと思うんですよね。それと、注意する時は、とにかく言い過ぎない事ですかね。言いたいことを50%にとどめ、考え方や、方向性を導き出せるようなお手伝いしてあげるようにしています。 いいサービス、おもてなしやゲストへのこまかやかな気遣いは、実体験がないと絶対にできないことなんですよ。ですので、月に一度は全員で高級レストランや評判の良い店などに出かたりしています。ライバルは同業者ではなく異業種なんですよね。究極なのは、ディズニーランド。ディズニーランドで働くスタッフでさえミッキーマウスの正体を知らない。あらゆるサービス、装飾品、施設の整備他一切の妥協がなく、スタッフの夢をも壊さないことがすごいことですよね。大人も子供も楽しめる、いつでも期待を裏切らない、そして、いつまでも夢の国であり続ける。サロンワークの中で、毎日同じ仕事をしていれば新規、長いおつきあいのゲストに関わらず、施術もおざなりになってしまう時があるものなんです。そんな時、美容師という仕事を目の前のお客様を最後にし、やめなくてはいけなくなったら、どんな仕事をする?・・・という気持ちで取り組むようにとスタッフに言い聞かせています。
インタビューを終えて
ゲストが転居のために、シュプールに通えなくなっても施術内容を他の美容師がわかるカルテをプレゼントするそうです。ゲストが喜んでくれることは何なのか、シンプルに考え、できることから実践する。通えば通う程、あたたかみを感じる美容室ヘアーシュプール、尾池オーナー、この度は、ありがとうございました。